人事データの管理は、最初のうちはスプレッドシートツールを使えば簡単にできるように思えます。しかし、ファイルの数やサイズが指数関数的に増えていくにつれて、管理は次第に複雑で煩雑になっていきます。
社員情報、欠勤時間、給与計算、業績評価など、それぞれの情報を別々のファイルで管理していると、最大の問題は「データが分断されてしまうこと」です。会社の規模が大きくなるほど、コピー&ペーストを繰り返したり、別ファイルを目視で参照して処理する作業はますます困難になります。
スプレッドシートツールは紙の帳票よりも業務効率を高めましたが、データベースとして使うには不向きです。データの関連付けが難しいため、たとえば欠勤時間を集計する際には、休暇届フォームからメインシートに都度コピー&ペーストする必要があったり、別フォームに入力する際に社員情報シートを毎回参照しなければならないなどの手間が発生します。
こうした作業は時間がかかるだけでなく、ミスの原因にもなり、結果としてその修正にさらに多くの労力を要することになります。
こうした問題を避けるためには、スプレッドシートからデータベースへ移行することが最善の解決策です。そして、すでにスプレッドシートに慣れている方であれば、Ragic を使ったデータ管理も簡単に始められます。
Ragic では、コードを書く必要なく、自分に最適なデータベースを自由に設計・管理できます。誰でも Excel などで新しいスプレッドシートを作成する感覚で、簡単に独自のデータベースをカスタマイズできます。
さらに、Ragic では シート同士の関連付け、アクセス権限の管理、ユーザー間のデータ共有・共同作業なども簡単に行えます。
加えて、プログラミング知識がなくても、データベースの設計をいつでも自由に変更できます。既存のデータベースソフトウェアではできない柔軟性を持っています。
また、Ragic ですぐに人事管理を始められるよう、ダウンロードして利用できる関連テンプレートも用意しています。直感的で分かりやすい設計のため、すぐに HR データの管理を開始できます。必要に応じて、各テンプレートシートの設計を変更し、自社の要件に合わせてカスタマイズすることも可能です。
本記事では、人事管理の基本となる 4 つのテンプレート、社員管理、勤怠(タイムシート)、残業申請、休暇届 を順に紹介します。また、(総務カテゴリにある)電話帳 シートがどのように作られているかについても説明します。
HR カテゴリの中心となるのは 社員管理 シートで、ほかのすべての HR シートはこのシートと連携しています。そのため HR カテゴリからどのシートをインストールしても、社員管理シートは必ず同時に追加されます。一方、後述の 3 つのシートは個別にインストールすることが可能です。

これらのシートのデータは、以下の順番で入力することを推奨します:
まず 社員管理フォーム を作成し、その後 勤怠(タイムシート)、残業代請求、休暇届 のデータを入力します。
本 HR 管理テンプレートは、全社員データを管理する中心となる 社員管理シート を基盤として設計されています。このシートは、社員情報、連絡先情報、職務経歴、学歴の 4 つのセクションで構成されています。

このシートは基本的に「社員カード」の電子版にあたるもので、各フィールドの意味は直感的に理解できるはずです。もし項目が自社の運用と合わない場合は、フィールドを追加・削除して簡単に調整できます。
子テーブル(緊急連絡先、職務経歴、学歴の子テーブル)では、社員データと 一対多 の関係を構築できます。例えば、1 名の社員に対して複数の勤務先や学校を記録することが可能です。
このシートは、社員の勤務時間を記録するために使用されます。リンクと読み込み機能を利用し、社員管理シート の「エントリー番号」フィールドと紐付けられています。
エントリー番号を入力すると、該当する社員名・社員番号・部署・役職が自動入力されるため、重複したデータを手動で記入する手間が省けます。
また、下部の子テーブルでは、社員の勤務時間の詳細を入力できます。

「残業代請求」シートは「タイムシート」と同様に動作し、入力済みの社員情報を即座に自動入力できます。また、タイムシートと同様に、下部の子テーブルで個々の残業時間の詳細を入力できます。

休暇届シートの上部では、休暇の種類を選択できます。シート下部では、エントリー番号を選択することで、社員情報を自動入力することができます。
合計時間フィールドは、休暇日(および時間)の入力に基づき、数式によって自動計算されます。この際、昼休みや週末は自動的に除外されます。

すべてのデータを Ragic に移行すると、フィルター機能を使って、リストページ上で素早くデータを抽出できます。例えば、特定の社員が取得した休暇時間の合計を確認したり、特定の部署の休暇取得状況を一覧で把握することも、数クリックで簡単に行えます。

休暇届シートで合計時間から国民の祝日を除外したい場合は、数式内の NETWORKDAYS 関数のパラメータを調整することで対応できます。
ただし、国民の祝日は毎年異なるため、複数のシートで NETWORKDAYS 関数を使用している場合、毎年すべての関数パラメータを修正するのは大きな手間になります。そのような場合は、グローバル定数 を利用することで、設定変更を一元化でき、大幅に作業時間を削減できます。
また、自分で休暇届シートを設計したいものの、どのように数式を書けばよいか分からない場合は、下記の画像を参考にしてください。

「電話帳」は 総務 カテゴリにあるテンプレートですが、実際には マルチシート により作成された 社員管理シートの別バージョン です。つまり、用途に応じて複数のビューが設定されており、すべて同じデータソースを共有し相互にリンクされています。「社員管理」シートは人事部が利用するため、詳細な個人情報を表示します。一方、「電話帳」は社員同士が連絡を取るためのビューとして設計されており、基本的な連絡先情報のみを表示し、その他のフィールドは非表示になっています。また、マルチシートごとに異なる アクセス権限 を設定することも可能です。

各社員の 社員管理 エントリ内で、タイムシート、残業、休暇の情報をまとめて確認したい場合は、参照子テーブル を作成することで実現できます。
参照子テーブルを追加すると、その社員に関連する他のシートの情報を一箇所に集約して表示でき、管理画面上で一元的に確認できます。

さあ、準備はできましたか?